2026年度 入学試験「国語」A方式・B方式|模範解答と詳しい解説
注意
本記事は、問題冊子の本文・選択肢・図表をもとに作成した非公式の模範解答です。公式解答ではありません。
特に、大問1・1A問3のBと、大問5のB・Cは、厳密な論理と出題意図の捉え方によって判断が分かれる可能性があります。本記事では、本文の因果関係、選択肢同士の対比、通常の読解問題としての出題意図を総合して判定しています。模範解答
大問1
1A
問
解答
問1
文化
問2
私たちの遺
問3
A:○ B:× C:○ D:×
1B
問
解答
問1
①
問2
④
問3
① 美しさ ② 多様性 ③ ルッキズム
大問2
問題
解答
A
③
B
①
C
③
大問3
問1
選択肢
解答
①
×
②
×
③
×
④
○
問2
選択肢
解答
①
○
②
×
③
○
④
×
大問4
問題
解答
A
③
B
④
C
②
大問5
問題
解答
A
正しい
B
正しくない
C
判断できない
大問6
問1
③(3つ)
該当する施設:B・C・D
問2
空欄
解答
A
② ヨーロッパ
B
① アメリカ
C
④ 低
D
⑦ 正常
E
⑧ 若年層
大問7
問1 模範解答例(400字以内)
みんなの意見を踏まえると、分業の効率を生かしながら、当面は週一回集まるのがよいと思います。Aさんの言うように、各自の得意分野を担当して早めに試作品を作り、フィードバックを受ければ、完成度を高められます。一方、Bさんが指摘したように、まだ互いの力量や考え方を十分に理解していない段階で完全に任せきると、認識のずれが起こるおそれがあります。また、Cさんの言うように、集まる時間を互いの専門を学ぶ機会にもできます。そこで、普段は分業し、週一回四十五分だけ対面で集まり、進捗と仕様の確認、困っている点の相談、短い教え合いを行いませんか。まず三週間試し、試作品ができた時点で効果を確認し、その後の頻度を全員で決めたいです。
306字
問2 模範解答例(150字以内)
A・B・Cの意見をそれぞれ正確に取り上げ、どれか一つを退けず、分業、対面での調整、学び合いを両立する具体案を示した。さらに、時間と見直しの時期を明記し、口頭での提案に合う問いかけの表現を用いた。
97字
詳しい解説
大問1
1A 問1「文化」
空欄を含む文は、次のようになっています。
くさみと旨みを分かつのはひとえに( )的な影響である。
本文では、同じ魚だしを口にしても、慣れていない外国人には「くさみ」、日本人には「旨み」として知覚されると説明されています。
魚だしという刺激そのものに「くさみ」や「旨み」という価値が備わっているのではありません。それぞれが文化の中で身につけた意味づけによって、同じ刺激が異なる価値として知覚されます。
したがって、本文から抜き出す語は**「文化」**です。
1A 問2「私たちの遺」
傍線部②は、外界の刺激をどのような意味として解釈するかは、人間の身体の中に生まれつき備わっているわけではない、という内容です。
これを言い換えている文は、次の一文です。
私たちの遺伝的な特性には意味や価値を解釈する仕組みはない。
その最初の5文字は、次のとおりです。
- 私
- た
- ち
- の
- 遺
したがって、答えは**「私たちの遺」**です。
1A 問3
この問題では、刺激と知覚との間に、文化的・社会的な影響があるかを判定します。
本文の中心的な考え方は、次のとおりです。
- 光や音などの刺激を受けるだけでは、意味のあるものとして知覚できない
- 刺激そのものには意味がない
- 学習によって、刺激と意味・価値が結びつく
- その意味づけは、文化的・社会的な影響を受ける
A:○
絶対音感のある人は物音を音名として聴くことができる。
物理的な音そのものに、「ド」「レ」などの音名が含まれているわけではありません。音名や音階は、人間の音楽文化の中で作られた分類です。
したがって、物理的な音を音名として知覚することには、音楽文化による学習が介在しています。
B:×
ホルンの音で餌の時間を知って羊が集まってくる。
羊がホルンの音と餌を結びつけることには、後天的な学習があります。しかし、設問が問うているのは単なる「学習の有無」ではなく、刺激と知覚との間に文化的・社会的な影響があるかです。
Bは、特定の音と餌とを繰り返し結びつけた個体的な条件づけとして説明できます。羊が、ホルンの音について人間社会で共有されている文化的・象徴的な意味を理解しているとは本文からいえません。
Aの音名やCの教会のイメージは、人間社会で共有される音楽・宗教文化を介した意味づけです。それに対し、Bは個体の経験による刺激と報酬の結びつき、Dは聴覚器官の生物学的な違いです。この選択肢の対比から、出題意図としてはBを×とするのが最も自然です。
「学習によって刺激と意味が結びつく」という点だけを広く取れば○の余地もありますが、設問の「文化的・社会的」という限定を重視し、本解答では×を採用します。
C:○
鐘の音を聞くと塔のある大きな教会が目に浮かぶ。
鐘の音自体に教会の意味が含まれているわけではありません。鐘と教会との宗教的・歴史的な結びつきを学んでいるため、そのイメージが生じます。
D:×
同じ空間にいても動物ごとに異なる周波数の音を聞いている。
これは、耳や聴覚器官、神経系などの生物学的な違いによるものです。刺激にどのような意味を与えるかの違いではなく、受け取ることのできる物理的刺激の範囲そのものが異なっています。
したがって、文化的・社会的な影響ではありません。
1B 問1「①」
「ひょんなことから」は、思いがけない、ちょっとしたきっかけや偶然によって、という意味です。
したがって、最も適切なのは**①「ちょっとした偶然から」**です。
1B 問2「④」
梨花は「ブスはいない」と主張し、「自分のためのメイク」を打ち出すことで、ルッキズムを問い直そうとしています。
しかし知子は、美容業界の掲げる「多様性」も、結局はすべての人に何らかの美しさを求める市場の論理だと見抜いています。
「ブスはいない」という言葉は、一見すると差別をなくす考え方に見えます。しかし、「美しくなくてもそのままでよい」と認めるのではなく、すべての人を何らかの形で「美しい」として市場に取り込む考え方でもあります。
したがって、知子は梨花の主張が**④「『ブス』を排除する市場主義的なもの」**につながると考えています。
1B 問3
① 美しさ
本文冒頭では、「美しさの基準が多様化している」とされる一方で、細身の身体、白い肌、大きな瞳など、特定の美しさが依然として高く評価されていると述べています。
要約文の「一定の(①)が基準となっている」には、美しさが入ります。
② 多様性
本文では、美容業界における「多様性」が問題にされています。
あらゆる容姿がそのまま認められているのではなく、一定の「美しさ」の範囲内にあるバリエーションだけが認められている、という批判です。
したがって、②は多様性です。
③ ルッキズム
要約文では、同じ語が次の二か所に入ります。
(③)はなくなったのではなく新たな形をとっている
新たな形の(③)が生まれている本文の最後は、「現代のルッキズムの複雑さを考えるにはよい作品」とまとめられています。
「容姿いじり」をされること自体が芸人としての価値になることも、外見によって人の価値が決まる新しい形の問題です。
したがって、③はルッキズムです。
大問2
A「③」
コンフリクトとは、異なる意見や利害が対立する緊張状態です。
- ①:関税をめぐる国同士の利害の対立
- ②:仕事と余暇のどちらを優先するかという内面的な葛藤
- ④:CO₂削減をめぐる各国の意見・利害の対立
③は、18歳成人制度について問題点が複数指摘されているというだけで、意見や利害の対立は示されていません。
したがって、関係がないものは③です。
B「①」
アナロジーとは、ある事柄の仕組みや特徴を、別の事柄に当てはめる発想です。
- ②:カワセミのくちばしの形を新幹線に応用
- ③:雑誌の定期購読の仕組みを家具・家電に応用
- ④:ハスの葉の撥水構造を製品に応用
①は、扇やうちわから扇風機、さらにエアコンへと、同じ目的を持つ装置を技術的に発展させた説明です。別分野の事柄を類推して転用した例とは言いにくいため、関係がないものは①です。
C「③」
「有害な男らしさ」とは、男性に特定の役割や行動を求める固定観念が、男性本人や周囲に悪影響を与えることです。
- ①:「長男・男性なら定職に就くべきだ」という規範
- ②:「子育ては女性の役割である」という性別役割
- ④:「男性が生理について話すべきではない」という固定観念
③の契約結婚は、家事労働に料金を支払う仕組みを選んだという内容であり、それだけでは有害な男性規範を示していません。
したがって、関係がないものは③です。
大問3
問1
本文から確認できる条件は、次の二点です。
- 出願にはシステムへの新規登録が必要
- 18歳未満の場合は、保護者が子どもの名前で出願する必要がある
①:×
保護者が子どもの名前でプレエントリーする必要があるのは、18歳未満の場合です。すべての出願者に必須ではありません。
②:×
本文では、出願のために新規登録が必要とされています。順序は「新規登録→プレエントリー」です。選択肢は順序が逆です。
③:×
本文は、18歳未満の場合は保護者が出願すると述べているだけです。18歳未満の人の名前で新規登録できないとは書かれていません。
④:○
18歳未満の場合は保護者が手続きを行う必要があります。したがって、出願手続きをすべて自分で行えるのは18歳以上の出願者です。
問2
①:○
現行の保険証の有効期限は、最長で令和7年12月1日までです。転居や転職などで保険者が変われば、それより前に期限を迎えます。
したがって、令和7年7月現在で、すでに有効期限を迎えている人がいることも読み取れます。
②:×
令和7年12月2日以降に順次使えなくなるのではありません。現行の保険証は、遅くとも令和7年12月1日までに有効期限を迎えます。
③:○
マイナンバーカードの健康保険証利用登録をしていない人などには、資格確認書が交付されると明記されています。
④:×
資格確認書は、本人の申請によらず医療保険者から交付されます。また、現行の健康保険証を使い続けるための申請書類ではありません。
大問4
A「③」
本文の因果関係は、次のとおりです。
団塊の世代の高齢化・女性のM字カーブの解消
→ 追加的な労働供給余地の低下
→ 労働者を追加的に確保するために必要な賃金上昇率が高まりやすくなる賃金上昇率が高まりやすい状況への移行を直接示唆するのは、**③「追加的な労働供給余地の低下」**です。
①と②は、③が生じる原因です。
B「④」
日本の開発協力には、次の二つの目的があります。
- 平和で安定し、繁栄した国際社会の形成に貢献すること
- 日本の平和・安全・経済的繁栄など、国益の実現に貢献すること
この二つをともに含むのは、**④「平和で安定し繁栄した国際社会形成と日本の国益実現への貢献」**です。
C「②」
2020年から2021年には厳しい行動制限があり、友人や親戚と会うことや、遊ぶことが制限されました。
2022年に制限が緩和されると、子どもの向社会性が改善し、困難さも全体として低下しました。
面会や遊びの自由度は、いずれも行動制限の具体例です。最も包括的な選択肢は**②「行動制限」**です。
大問5
この大問では、本文だけを根拠として、設問文が「正しい」「正しくない」「判断できない」のどれに当たるかを判定します。
A「正しい」
本文には、次の内容が書かれています。
- 昔、水があったらしい場所を調査した
- 岩に小さな点を発見した
- 地球では微生物が同様の点を作ることがある
- そのため、火星に微生物がいた可能性がある
- 確認には岩を地球に持ち帰る必要がある
設問文も、水や微生物の存在を断定せず、「らしい」「推定」としています。本文と一致するため、正しいと判断します。
B「正しくない」
本文では、海の水温が上昇しており、気象庁はその原因を「地球が暖かくなっているからだ」と説明しています。さらに、その直後に湖や川の水も温かくなっていると続きます。
これに対して設問文は、
気温の上昇から海や川の水温の上昇は予測できない。
と、本文が示した因果関係を否定する内容になっています。
厳密には、原因を事後的に説明できることと、変化を事前に正確に予測できることは同一ではありません。しかし、この問題は本文中の因果関係を読み取る問題と考えるのが自然です。本文が「地球の温暖化→水温上昇」という関係を示している以上、「予測できない」と断定する設問文は本文と合いません。
なお、専門家が予想していなかったのは、四万十川でののりの減少が急激だったことです。水温上昇そのものが予測不能だったという記述ではありません。
したがって、正しくないと判断します。
C「判断できない」
本文は、次のように述べています。
国家公務員給与の改定に準じて、2023年4月まで遡って公定価格の引上げを行う。
ここから確実に読み取れるのは、次の二点です。
- 国家公務員給与の改定が、公定価格引上げの基準になった
- 公定価格の引上げを2023年4月まで遡って行う
一方、設問文は「国家公務員の給与は令和5年4月に改訂された」としています。
「2023年4月まで遡って」が直接かかるのは「公定価格の引上げ」であり、国家公務員給与の改定時期ではありません。ただし、本文には、国家公務員給与が令和5年4月に改定されなかったとも書かれていません。
したがって、本文だけからは真とも偽とも確定できず、判断できないとします。
大問6
問1「③(3つ)」
該当するのは、B・C・Dです。
A:該当しない
Aは「停電・断水している施設」です。
水素貯蔵システムが電気と温水を供給できることは書かれています。しかし、次のことは本文に書かれていません。
- 断水中でも使える水をシステム内に貯蔵している
- 燃料電池から生じた水を生活用水として供給する
- 外部からの給水がなくても温水を供給できる
表の「外部からの燃料調達が不要」は、燃料である水素をあらかじめ貯蔵できるという意味です。外部からの給水が不要という意味ではありません。
したがって、Aは選びません。
B:該当する
本文で、実際の導入先として「災害時における周辺地域帰宅困難者の一時滞在施設」が明記されています。
C:該当する
本文には、緊急時に約300人の避難者に対し、約1週間分の電気と温水を供給できるとあります。
表でも、水素貯蔵システムは長期間動作の面で優れています。
D:該当する
水素貯蔵システムは、トレーラーなどに積んで運ぶことができます。本文には、被災地やオフィスビルなどの非常用移動電源としての活用が期待されているとあります。
停電によって業務が止まっている施設に運び、電力を供給する用途に合います。
E:該当しない
大容量時の導入コストは、次の評価です。
装置
評価
水素貯蔵システム
○
リチウムイオン蓄電池
△
非常用発電機(ディーゼル等)
◎
水素はリチウムイオン蓄電池より優れていますが、ディーゼル等よりは劣ります。導入コストを最も安く抑えたい施設で、他の装置より優位とはいえません。
問2
A「② ヨーロッパ」
図1では、2023年第2四半期のGDPが、アメリカ106.2、ユーロ圏102.6、英国99.8となっています。
ヨーロッパでは、ユーロ圏の伸びが小さく、英国は感染症前の100を下回っています。「足踏み状態」に当たるのはヨーロッパです。
B「① アメリカ」
アメリカのGDPは感染症前の水準を明確に上回り、2023年第2四半期には106.2に達しています。継続的な回復が見られるため、「自律的に回復」に当たります。
C「④ 低」
図2では、アメリカ、英国、ユーロ圏の失業率が感染症流行直後より低下しています。
失業率が低いことは、働き手を求める需要が強く、労働需給が引き締まっていることを示します。
D「⑦ 正常」
感染症が収束し、制限されていた経済活動が通常の状態に戻ることを「経済活動の正常化」と表します。
E「⑧ 若年層」
図4では、中国の若年失業率が2023年6月に21.3%となり、全体の失業率5.2%を大幅に上回っています。
過去最高水準で推移しているのは若年層です。
大問7
三者の意見の整理
発言者
中心的な意見
A
得意分野を生かして分業し、早く試作品を作って改善したい
B
対面で相談・調整し、互いの力量や人間関係を理解したい
C
他の専門分野を学び、得点以外の学びも得たい
問1の解説
高得点を取るには、三者の意見を単に要約するだけではなく、それぞれの利点を生かした具体策を示す必要があります。
模範解答では、次の折衷案を提示しています。
普段は分業する
+週一回、短時間だけ対面で集まるこの案には、次の要素が含まれています。
- Aの効率性:得意分野を担当し、早く試作品を作る
- Bの相互理解:進捗・仕様を確認し、困り事を相談する
- Cの学び合い:短い教え合いの時間を設ける
また、「週一回四十五分」「まず三週間」「試作品ができた時点で見直す」と具体化しています。
単に「毎週集まり続けよう」とすると、Aが指摘する非効率を解決できません。試行期間と見直しの時期を定めることで、Aの意見にも配慮しています。
さらに、「行いませんか」「全員で決めたいです」と問いかける表現を使い、同じグループのメンバーに口頭で提案する形式にしています。
問2の解説
問2で求められているのは、問1の意見を繰り返すことではなく、文章を書く際に注意した点を説明することです。
模範解答では、次の工夫を説明しています。
- A・B・Cの意見を公平に取り上げた
- どれか一つを全面的に否定しなかった
- 分業・調整・学び合いを両立する案を示した
- 時間や見直しの時期を具体的に示した
- 口頭での提案に合う問いかけを使った
問1で実際に行った工夫と、問2で説明する内容が対応していることが重要です。
まとめ
本試験では、単なる知識ではなく、次の力が問われています。
- 本文中の因果関係や言い換えを正確に捉える力
- 選択肢が本文のどの部分と対応しているかを確認する力
- 図表と文章を組み合わせて判断する力
- 複数の意見を整理し、具体的な提案にまとめる力
特に、「本文に書かれていないことを推測で補わない」「修飾語がどの語にかかるかを確認する」「選択肢の一部だけでなく文全体を判定する」ことが重要です。